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『そして僕らは』:催涙雨302008-11-09 Sun 23:53
長編作品 『そして僕らは』:催涙雨30 (藤堂×赤井?/パロディ)
翌朝。ふかふかの布団に包まれてぐっすりと眠る事が出来た赤井は、いつもと 比べると若干遅い時間帯に目を覚ました。 だが、歓迎会の半ば頃からの記憶がはっきりと残っていなかった赤井は、 いつの間に客間まで戻って来たのだろうかと疑問に思ってコトリと首を傾げた。 「…修平が連れて来てくれたのかな…?」 最も、天の東側にいた頃も多量に酒を飲んだ日は記憶が曖昧になってしまう事が 良くあり、その度にいつの間にか寝室に戻っている事があったので、赤井は現状を それ程疑問に思う事なくポツリと呟いた。 自分でも酒に強くない事は理解しているのだが、親友である蒼山に勧められると つい飲みすぎてしまうのだ。その上、昨夜は藤堂にも勧められるまま酒盃を重ねて しまったのだから、深酔いしてしまうのも当然だろう。 深酔いする度に、蒼山の世話になっている事を申し訳なく思った赤井は知らない。 昨夜は蒼山だけでなく、藤堂の手も借りて客間まで戻って来たのだと言う事を――。 むしろ、記憶の何処かにその事実が残っていたとしたら、これ程呑気にしては いられなかっただろう。会って間もない藤堂に迷惑をかけた事を覚えていれば、 今頃はもっと焦っていたに違いないからだ。 だが、いくら思い起こしても昨夜の事は途中からさっぱり思い出せなかった 赤井は、呑気に後で蒼山に礼を言えば良いかと考えていた。 「良し、そうと決まれば修平の所に行こう」 そして、ぐっすりと眠っていた為に固まりかけていた体をほぐす様に、両手を 組み合わせて大きく伸びをしてから、赤井は勢い良く部屋を後にした。 朝が訪れているにも関わらず、廊下には未だに仄かな照明が灯されている。 橙色の明かりに照らされた廊下は、埃一つ見当たらない程に磨かれている上に、 赤井が歩いても足音一つ響き渡らなかった。 「修平、起きてるか?」 足音を立てない様に歩いていた訳でもないのに、足音一つ響き渡らない事を 不思議に思いながら、赤井は隣の部屋の扉を叩いた。 コンコンと質の良い音が静かな廊下に響き渡った瞬間、廊下を歩いても木の軋む 音一つ響かなかったのは使われている木の質が良いからだと言う事に気付いて、 赤井は感心から小さな溜息を零した。 溜息の後に声をかけた赤井の呼びかけに、暫くして蒼山がゆっくりと扉を開く。 未だ眠そうな顔つきで扉の向こうから現れた相手は、赤井の姿を見るなり双眸を 瞬いて「…おはよう…」と酷く静かな挨拶を口にした。 「おはよう、修平」 無論、長い付き合いなので相手の物静かな態度に慣れていた赤井も、にこりと 微笑みながら挨拶を返す。 それだけで、未だ眠そうだった蒼山もぼんやりとした思考がはっきりしたのか、 不意に心配そうな眼差しを見せた。 「昨夜は随分と飲んでいたが、大丈夫なのか?」 「…途中から余り覚えていないけど、何とかね。目が覚めたら客間の寝台にいた と言う事は、修平がここまで連れて来てくれたんだろう? ありがとう、修平」 心配そうな言葉をかけて来る蒼山は、今まで赤井がどんなに飲み潰れても 苦言を口にした事がなかった。 そして、今日もいつもと同様に心配そうな言葉をかけて来る蒼山に、赤井は 苦笑と共に答えて感謝の言葉を口にした。 けれども、いつもならば赤井が二日酔になっていない素振りを見せれば安堵の 笑みを見せる蒼山は、赤井の感謝を聞いてほんのわずかに視線を逸らしてから、 小さく頷く。 この時、蒼山は内心で藤堂と共に酒を飲む時は赤井に酒を勧めすぎない様に しようと思っていた。 しかし、蒼山の内心に全く気付く事もなかった赤井は、相手の反応の違いに わずかな違和感を抱いて不思議そうに首を傾げたのだった。 【水月の一言】 どんどん催涙雨の更新が遅くなっている気がします。 この調子だと、今年中に最終話までたどり着かない かもしれません…。 |
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